『協調性がない』『学生気分』は指導ではない|労使関係を壊す人格否定の正体

※ 本ページはプロモーションが含まれています。

20代の頃、今から30年ほど前。
職場で私はこう言われた。

「協調性がない。チームでやっているんだから」
「あなたは、まだ学生気分でいるんじゃない?!」

具体的に何が問題なのか、
どの行動をどう直せばいいのか、
そうした説明は一切なかった。

あったのは、
「空気に合わせろ」
「黙って従え」
という無言の圧力だけだった。

当時の私は、
自分なりに考え、疑問を持ち、
より良くできないかを模索していただけだ。

しかし、それは
「協調性がない」
「学生気分」
という言葉で切り捨てられた。

今振り返っても、
あれは指導ではなかった

「学生気分」という言葉の正体

「学生気分」という言葉は、
非常に便利で、そして危険だ。

なぜならこの言葉は、
行動を指摘していないからだ。

・遅刻したのか
・成果が出ていないのか
・報連相に問題があるのか

そうした具体性は一切ない。

代わりに攻撃しているのは、
「姿勢」
「意識」
「心構え」
といった、反論できない領域だ。

これは議論ではない。
人格へのラベリングである。

一度貼られたラベルは剥がせない。
反論すれば「言い訳」。
黙れば「やはり未熟」。

つまり、
相手を黙らせるための言葉だ。

本当に指導する気があるなら、
使われるはずの言葉はこうだ。

「ここではこういう判断基準が必要だ」
「この場面ではチームの優先順位がある」

それができない側が、
思考を放棄したときに出てくるのが
「学生気分」という言葉である。

なぜ管理する側は人格否定を使うのか

理由は単純だ。

  • マネジメント能力がない
  • 言語化できない
  • 多様な考えを扱えない

だから、
曖昧な言葉で上下関係を固定する。

これは30年前に限った話ではない。
今でも多くの職場で見られる。

「協調性がない」
「社会人としての自覚がない」
「空気が読めない」

これらはすべて、
管理の失敗を個人に転嫁する言葉だ。

「協調性がない」は免罪符として使われる

本来、協調性とは何だろうか。

  • 目的を共有する
  • 役割を分担する
  • 意見の違いを前提に調整する

これが本来の協調性だ。

しかし現実の職場で使われる
「協調性がない」は違う意味を持つ。

それは、
「従わない」
「疑問を持つ」
「同調しない」
という意味で使われる。

つまり、
従順であること=協調性
という歪んだ定義だ。

この定義が支配する組織では、
労使関係はすでに壊れている。

反論した人間はどうなるのか

人格を否定され続けた結果、
私は感情を抑えきれなくなった。

「ふざけんな」

そう言った瞬間、
状況は一気に変わった。

問題は発言の内容ではなく、
逆らったという事実だった。

その後、
詰められ、囲まれ、
最終的に「自主退職」という形を取らされた。

ここで重要なのは、
「自主」という言葉の嘘だ。

選択したように見せて、
実際は排除する。

会社は解雇責任を負わず、
問題は「本人の問題」として処理される。

これは今でも続く、
典型的な追い出し構造である。

それでも私は「自分の芯」を守った

職は失った。
立場も失った。

だが、
自分の中の何かは失わなかった。

  • 理不尽を正当化しない
  • 自分がおかしいとは思わない
  • 黙って壊れない

多くの人はそこで
「自分が悪かったのかもしれない」
と考え、思考を止める。

私はそれをしなかった。

結果として社会的には不利だったかもしれない。
だが、思考停止は選ばなかった

30年後にわかったこと

問題は私個人ではなかった。
構造の問題だった。

当時は排除された特性が、
今の社会では強みになる。

  • 考える力
  • 疑う力
  • 学び続ける力
  • 構造を見る力

組織のほうが古かっただけだ。

USB-Cを挿して、
「使えない」と言われたようなものだ。

もし今、同じ言葉を向けられている人へ

「協調性がない」
「学生気分だ」

もし今、あなたが
これらの言葉を向けられているなら、
一度立ち止まってほしい。

  • 具体的な指摘はあるか
  • 行動と成果の話か
  • 改善可能な内容か

それがないなら、
問題はあなたではない。

労使関係は
従属関係ではない

価値と時間を交換する、
契約関係だ。

人格を差し出す契約ではない。

労使関係とは「対等な契約」である

働くとは、
労働力と報酬を交換すること。

尊厳まで差し出すことではない。

人格を否定する組織から離れる判断は、
逃げではない。

自分の芯を守る選択だ。

30年前の経験は、
今も私の中に残っている。

だがそれは、
傷ではなく、
判断基準としての武器になった。

  • X