高校生ポイント|神武天皇とは?初代天皇の存在をどう理解すべきなのか

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「神話」と「歴史」の境界線が最も揺れる人物。それが神武天皇です。
学校で日本史を学ぶとき、最初に出てくる名前ですが、「本当に存在したの?」「歴史上の人物と神様の境界は何?」と混乱しやすい部分でもあります。
しかし、ここを正しく理解すると、日本の歴史の“物語の始点”が見えます。
この記事では「神話」「考古学」「政治史」「国民感情」など複数の視点で、神武天皇を考えます。
神武天皇の基本情報(神話上の生涯)
・在位:紀元前660年頃とされる
・父:ウガヤフキアエズ
・兄たちと東征し、最終的に大和の橿原で即位
・初代天皇として日本の統治を開始
・即位の日(2月11日:紀元節)は後に日本の建国の象徴の日となる
もちろん記録は日本神話である『古事記』や『日本書紀』がベースです。
つまり「歴史文書」でもあり「建国神話」でもあります。
ここが「神武天皇」を語る難しさであり面白さでもある。
歴史としての神武天皇はどう扱われるべきか?
現代の研究者は以下のスタンスをとります。
- 神武天皇個人としての直接の存在を歴史的に証明するのは難しい
- しかし「天皇家の始祖として物語が必要だった」ことの価値は大きい
- 大和政権成立の過程の象徴化された人物として見ると理解しやすい
つまり「存在した人物そのもの」ではなく
政治的正統性を持つ“シンボルの始祖” という理解。
これは世界中どの国も同じです。
中国にも黄帝がいる。
ヨーロッパにも建国神話がある。
国には「始まりの物語」が必要なのです。
神武東征とは何だったのか?
九州 → 瀬戸内海 → 大和
この移動の神話は「日本の政治の中心が九州ではなく大和に移った」という象徴です。
弥生時代以降、近畿が中心になる過程が「物語化」されたものと見る学者が多い。
神話だが、完全なフィクションとは言えない。
古代国家が現実に形成されていく過程の影が映っている。
国民感情の中の神武天皇
戦前:
国体の象徴として非常に強く意識され、軍国教育にも用いられた。
戦後:
科学史・考古学ベースの視点が定着し、「神話としての理解」が広がった。
現代:
「歴史の出発点」「文化の源流」として見直す人が増えている。
みんなの声(現代)
- 「神話だから意味がない、ではなく、むしろ日本文化の見え方が増える」
- 「神武が実在したかより、なぜ“神武”が必要だったのかを考えると歴史が一段深くなる」
- 「国家は“物語”で統合されるという視点を学校で教えてほしい」
- 「日本のルーツを考える入口として一番楽しいテーマ」
これらの声の方向で学ぶと、神武天皇は“歴史認識のトレーニング教材”にもなる。
近代史や近世史とはまったく違う「歴史の根本の理解力」をつくる。
まとめ
神武天皇は、ただの神話の人物ではありません。
- 日本文明の物語的な出発点
- 国の統合のための“共同幻想の中心”
- 大和政権の成立を象徴する存在
- 歴史を考えるための抽象的モデル
こう理解すると、神武天皇は現代でも価値がある。
歴史は「事実の積み重ね」だけではありません。
人が共有した“物語”によって国家は動いてきた ということを教えてくれる。
神武天皇は、日本史の最初の扉として最も面白いテーマです。


